【株投資】米国株 半導体シリーズ第四弾 テキサス・インスツルメンツ/Texas Instruments(TXN)

テキサス・インスツルメンツ(TI)と聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべますか?計算機?半導体?それとも、株式市場のあの静かなる巨人?今日は、テクノロジーと投資の交差点に立つこの魅力的な企業にスポットライトを当て、その真価と投資家としての潜在的価値を掘り下げてみましょう。

目次:

1.  テキサス・インスツルメンツとは?

 創業者

 製品群

2. テキサス・インスツルメンツの株価

3. 財務諸表分析

 売上実績&予想

 利益指標

 自己資本比率

 流動資産指標

4. 競合他社比較

 売上比較

 株価比較

1.テキサス・インスツルメンツとは?

創業者:理想と革新の基盤

テキサス・インスツルメンツ(TI)は、地震学的データ収集サービス会社として1930年に誕生しましたが、そのルーツは4人の創業者、Cecil H. GreenJ. Erik JonssonEugene McDermott、および Patrick E. Haggerty の深い信念にあります。彼らは、イノベーションによって世界を変えることができるという共通のビジョンを持っていました。第二次世界大戦を経て、彼らは会社の焦点を地震学から電子技術へと移し、この動きが現在のTIの基盤を築きました。

Greenは英国出身の地質学者であり、Jonssonはスウェーデンからの移民で市民工学者、McDermottはニューヨークで育った地球物理学者、Haggertyはビジネスと技術のリーダーシップを提供したエンジニアでした。彼らは異なるバックグラウンドを持ちながらも、教育の推進と技術の力を信じていました。この集団は、半導体技術の先駆者となり、トランジスタラジオから統合回路、そして電卓の開発に至るまで、TIを技術革新の最前線に押し上げました。

TIの創業者たちはただの起業家ではありませんでした。彼らは、未来を見据え、技術を使って社会に貢献する道を切り拓いたパイオニアだったのです。このビジョンは、TIが今日に至るまで持続的な成長を遂げる原動力となっています。

日常を支えるイノベーションの製品群

テキサス・インスツルメンツ(TI)と聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、その電卓—特に、教育分野で定評のあるグラフ関数電卓かもしれません。しかし、TIの製品はそれにとどまらず、私たちの生活のあらゆる面で中核的な役割を担っています。TIは、革新的なアナログチップとデジタルチップの設計を通じて、テクノロジーの限界を押し広げ、日常生活を支える基盤技術を提供しています。

 

TIの製品ポートフォリオは広範にわたりますが、特に注目すべきはアナログ半導体とデジタルシグナルプロセッサ(DSP)です。これらはエネルギー管理と高速処理を要するさまざまなデバイスに組み込まれ、私たちがより効率的かつ便利な生活を送れるよう支えています。たとえば、スマートフォンやタブレット、電子医療機器、さらには自動車など、あらゆるデバイスの心臓部にTIのチップが存在します。

 

自動車業界では、TIのアナログICは車載カメラ、センサー、コントロールシステムなどに使用され、安全性と性能の向上に貢献しています。電子医療機器分野では、TIの技術は患者の生命を救う医療機器の精度と信頼性を高めています。また、産業用ロボットや家庭用電化製品をはじめとする製品においても、TIのセンサーと制御システムは、よりスマートで効率的なオペレーションを実現しています。

 

しかし、TIの技術革新は製品そのものだけに留まらず、エンドユーザーに対して直接影響を与える方法で進行しています。例えば、TIの教育技術は、教室での学習を革命的に変えました。TIの電卓は、数学の学習を直感的かつ対話的にし、学生が複雑な概念をより深く理解するのを助けています。

 

テキサス・インスツルメンツは、私たちの生活を形作る無数のデバイスに「知能」をもたらすことで、世界の「スマート化」を推進しています。エンドユーザーが直接触れる製品から、目に見えない内部のコンポーネントに至るまで、TIの技術は、静かながらも決定的な役割を果たしています。このように、テキサス・インスツルメンツの製品は、単なる電子機器ではなく、私たちの生活様式自体を革新し、豊かにする力を持っているのです。

2.テキサス・インスツルメンツの株価

画像に表示されているのは、テキサス・インスツルメンツ(NASDAQ: TXN)の株価チャートで、2022年1月から2023年11月4日の終値までの期間をカバーしています。以下に、画像に基づく主要な点を説明します。

 

  1. 全体のトレンド: この期間において、株価は波形のようなパターンを描いています。2022年の初めから中盤にかけては上昇傾向にあったものの、その後変動が見られ、2023年に入ってからは下降トレンドが顕著です。

  2. 移動平均: チャートには3つの移動平均線が表示されています。青い線が短期の移動平均(恐らく5日間)、オレンジの線が中期の移動平均(おそらく13日間)、緑の線が長期の移動平均(おそらく26日間)です。これらの移動平均線は、株価の一般的な方向性を判断するために用いられます。短期線が中期および長期線を上回っているときは、短期的に上昇傾向にあり、その逆も同様です。

  3. 最新の株価: チャートの最終部分では、株価が下落トレンドにあり、150.23ドルで取引が終了しています。これは、チャート上で示される直近の期間における下降傾向を示しており、短期移動平均が中期および長期移動平均を下回っています。

  4. 変動性: チャートには、株価の上下動がかなりの頻度であったことが示されています。これは市場の不確実性や、該当する期間における特定のイベント(例えば、四半期ごとの収益報告、経済データのリリース、または全体的な市場の動向)による反応かもしれません。

  5. 分析のヒント: 投資家や分析家は、これらの移動平均線を重要なサポートとレジスタンスのレベルとして解釈し、これらのレベルでの株価の突破や反転を売買の決断ポイントとして利用することがあります。

このチャートから、テキサス・インスツルメンツの株価が特定の期間に上昇または下降する可能性についての確実な予測をすることはできませんが、過去のパフォーマンスと市場の動向から、一定の傾向を読み取ることはできます。また、投資家はこれらのデータを、会社の業績や業界の状況と合わせて考慮に入れることが一般的です。

3.財務諸表分析

売上実績&予測

下記はテキサス・インスツルメンツの利益と収益の推移を示す損益計算書(PL)のグラフです。以下にその要点を簡潔に説明します。

  • 時系列:2019年から2025年までの予測を含む。
  • 売上:売上高は2019年の約91億ドルから2022年には約207億ドルへと大幅に増加。その後の予測ではわずかに減少している。
  • 純利益:純利益も同様に増加し、2019年の約50億ドルから2022年には約137億ドルへ。しかし、2023年以降は減少傾向にある。
  • マージン率:利益率は2019年の63.7%から2022年には68.8%へと上昇し、その後2025年に向けて徐々に低下して62.21%と予測されている。

このグラフから、テキサス・インスツルメンツは過去数年間で売上と利益の両方を増加させることができたことが読み取れますが、予測によれば売上と純利益の成長は減速し、利益率は若干の低下が見込まれています。これは市場の飽和、競争の激化、コストの増加、あるいはその他の外部経済要因による可能性があります。重要なのは、企業がこのような変動にどのように対応し、収益性を維持する戦略をどのように立てるかです。

利益指標

テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments)の財務パフォーマンスを示す利益指標に関するこのグラフは、資産利益率(ROA)と自己資本利益率(ROE)の年次推移を表しています。グラフによると、ROAは2019年に20.2%であり、続く2020年には若干の減少を見せて19.8%です。しかし、2021年にはその数値が跳ね上がり25.3%に至りました。それ以降、ROAは減少傾向にあり、2022年には24.3%、2023年には16.8%と予測されています。

一方、ROEは2019年に56.1%と高い値を示し、2020年には更に増加して61.8%となりました。そして2021年にはさらに高い69.0%を記録し、企業の自己資本に対する収益性が非常に高いことを示しています。しかしながら、2022年にはROEが62.7%に減少し、2023年には45.6%まで低下すると予測されています。

ROAは企業が資産をどれだけ効率的に使って利益を生み出しているかを示し、ROEは株主が投下した資本に対する収益性を表します。一般に、ROEの方が高い数値を示すことが多いですが、両指標がともに減少傾向にあるのは、企業の収益性が低下している可能性を示唆しています。

この減少は市場環境の変化、競合の台頭、運営コストの増加、あるいは投資戦略の変化など、様々な要因によるものである可能性があります。また、2021年のピーク後の低下は、特にその年の業績が特別に良かった、一時的な要因が影響していた、あるいはそれ以降に発生した市場の挑戦に対応していることを示しているかもしれません。

自己資本比率

テキサス・インスツルメンツの自己資本比率の変化を2019年から2023年の期間で示しています。自己資本比率は企業の財務構造の安定性を示す指標であり、企業の総資産に占める自己資本の割合を意味します。

2019年には、総資産が15,042百万ドル、うち自己資本が8,907百万ドルで、自己資本比率が59.2%と高い比率を示していました。翌2020年には、自己資本は7,119百万ドルに減少し、総資産も低下して16,306百万ドルになり、自己資本比率は56.3%に下がりました。

しかし、2021年には自己資本が大幅に増加して13,333百万ドルになり、総資産も21,539百万ドルに上昇し、自己資本比率は61.9%に回復しました。2022年にはさらなる改善が見られ、自己資本は14,577百万ドルに、総資産は23,731百万ドルに増加し、自己資本比率は61.4%を維持しました。

2023年の予測では、自己資本は16,631百万ドルに増加するものの、総資産の伸びがそれを上回り27,853百万ドルになるため、自己資本比率は59.7%に減少するとされています。

自己資本比率の推移を見ると、テキサス・インスツルメンツは2019年から2021年にかけて資本の積み増しを行い、財務構造の改善を遂げたことが分かります。しかし、2023年の予測では資本増加率よりも総資産増加率の方が高く、比率が減少すると予測されているため、資本効率の観点からの監視が必要であると言えるでしょう。

流動資産指標

このグラフは、テキサス・インスツルメンツの在庫回転日数、売上債権回転日数、支払い回転日数、および流動比率を年別に示しています。単位は「日」で、流動比率は倍率で表されています。

在庫回転日数は、在庫が売れて現金化されるまでの平均日数を示し、売上債権回転日数は、売掛金が回収されるまでの平均日数を示します。支払い回転日数は、買掛金を支払うまでの平均日数を意味します。流動比率は、流動資産が流動負債をどれだけカバーできるかを示す指標で、数値が高いほど財務状況が良いとされます。

2019年に在庫回転日数は28.9日、売上債権回転日数は31.6日であり、流動比率は4.1倍でした。2020年には在庫回転日数が少し増加して31.5日、売上債権回転日数は減少して28.6日となり、流動比率は4.3倍に上昇しました。

2021年は在庫回転日数が31.0日、売上債権回転日数が増加して30.4日となり、流動比率はさらに上昇して5.3倍となりました。2022年には在庫回転日数が32.8日に増え、売上債権回転日数はさらに増加して36.5日、流動比率は4.7倍でした。

最後に、2023年の予測では在庫回転日数が40.5日、売上債権回転日数は減少して34.3日となり、流動比率は更に良好な5.7倍と予想されています。

結論として、在庫回転日数と売上債権回転日数の増減は企業の運用効率を示し、流動比率の増加は企業の流動性が改善していることを示唆しています。この情報から、テキサス・インスツルメンツは資産を効率的に管理し、安定した財務状態を維持していると分析できます。

4.競合他社比較

売上比較

グラフはテキサス・インスツルメンツ(TI)と主要な競合他社の売上とマージンを比較しています。TIの売上は18,112百万ドルで、マージンは64.5%となっており、競合他社の中ではQUALCOMMが最高の74.3%のマージンを記録しています。Intelは売上が最も高いが、マージンは38.1%と比較的低いです。Micronはマイナスのマージンを示しており、これは損失を意味します。

株価比較

このグラフはテキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments Incorporated)とその競合他社の時価総額(市場価値)と株価(赤い三角で表示されている)を比較しています。グラフの左側(青い棒グラフ)は時価総額を百万ドルで、右側(赤い数字と三角)は株価をドルで表しています。

テキサス・インスツルメンツは時価総額が約1,111,624百万ドルで、株価は136.44ドルです。最も株価が高いのはNVIDIAで450.05ドル、時価総額は約4,680万ドルです。一方で、Micron Technology, Inc.は株価が79.69ドルで、時価総額が882.68百万ドルとなっており、時価総額に対して株価が比較的低いことが分かります。

Intel Corporationの株価は38.14ドルで時価総額が約1,607,980百万ドルです。QUALCOMM Inc.は株価が167.92ドル、時価総額は約1,333,026百万ドルであり、Broadcom Inc.の株価は364.31ドルで時価総額は約1,195,520百万ドルです。

このデータから、テキサス・インスツルメンツは株価は中間レンジに位置しているものの、時価総額では業界のリーダーの一角を占めていることがわかります。他社と比較すると、NVIDIAは株価でも時価総額でも高い位置にありますが、Intelは低い株価にも関わらず高い時価総額を保っています。これは各社のビジネスモデル、市場の期待、収益性など多くの要因に基づいています。

テキサス・インスツルメンツは半導体技術の革新をリードする企業で、広範囲に渡る電子製品に不可欠なチップやプロセッサを提供しています。信頼性の高い製品と持続的な研究開発により、世界中のテクノロジーが進歩し続ける基盤を支えています。

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Hより

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