シリコンバレーはカリフォルニア州にあり、サンフランシスコから南に50マイルぐらいのところにあります。週末には地場系スーパーに行くことが多いのですが、最近果物で季節を感じることが多いです。夏ごろからはアメリカンチェリーがスーパーの入り口近くに大量に陳列しておりました。カリフォルニアはアメリカンチェリーの一大生産地であり、大量且つ長期間チェリーが陳列しております。しかし、季節も徐々に変わっていき、今のような秋になると今度はグレープとマスカットが大量に陳列しており、リンゴも徐々に出始めてきました。こうやって季節のものを見ながら1年の経過を感じるのもいいなーと思った今日この頃です。
今日は半導体シリーズ第二弾のブロードコムです!
1.ブロードコムとは?
ブロードコム(Broadcom Inc.)は、アメリカ合衆国に本拠を置く半導体およびソフトウェア会社で、幅広い通信、ネットワーク、およびコンピューター関連の技術製品を提供しています。以下はブロードコムについてのいくつかの重要なポイントです:
製品とサービス: ブロードコムは、多くの異なる技術領域に製品とサービスを提供しています。その製品ラインナップには、データセンター用のネットワーク機器、通信インフラストラクチャ、半導体デバイス(特にネットワークプロセッサ、セキュリティチップ、無線通信チップなど)、ソフトウェアソリューションなどが含まれています。
セキュリティ技術: ブロードコムは、セキュリティ分野においても強力な存在で、ネットワークセキュリティ、暗号化技術、セキュアブートプロセスなどのセキュリティ関連製品を提供しています。これは、データ保護とプライバシーの向上に役立ちます。
M&A(合併と買収): ブロードコムは、多くの合併と買収を通じて成長し、半導体業界で広範な技術および知識ベースを築いてきました。特に、ブロードコムはAvago Technologiesを買収し、その後、本社をアメリカからシンガポールに移転しましたが、その後再びアメリカに戻っています。
顧客と市場: ブロードコムの顧客は、通信プロバイダー、データセンター運営者、企業、消費者電子製品メーカーなど幅広い産業分野にわたります。彼らの製品は、モバイルデバイス、ルーター、スイッチ、サーバー、クラウドインフラ、スマートフォン、テレビ、自動車など、さまざまなアプリケーションで使用されています。
イノベーションとリーダーシップ: ブロードコムは、通信技術、ネットワーキング、セキュリティ分野でのイノベーションに注力し、市場でのリーダーシップを維持しています。彼らは新しい技術とソリューションの開発に積極的であり、産業全体に影響を与えています。
ブロードコムは、半導体および通信技術分野で幅広い製品を提供し、モバイル通信からデータセンターインフラストラクチャまで多くの分野で重要な役割を果たしています。
ブロードコムの歴史
ブロードコム(Broadcom Inc.)は、複数の合併と買収を経て形成された企業であり、その歴史は複雑で多岐にわたります。以下に、ブロードコムの主要な歴史的な出来事とマイルストーンをいくつか紹介します:
1961年: ハンガリア出身の技術者ヘンリー・サミュエルが、電子部品のディストリビューターとしてBroadcom Corporationを創設。
1991年: バイセル (Bay Networks) の創業者であるレナード・ボズナック(Len Bosack)とサンジャイ・カトラ(Sanjay Kasturia)が、Broadcom Corporationを購入し、Broadcom Limitedと改名。
1998年: Broadcomは初めてNASDAQに上場。
2000年: Broadcomは、シリコンバレーの多くの企業と同様に、ドットコムバブル(インターネット関連企業の株式市場での急激な成長と崩壊)の影響を受けたが、堅調に成長を続け、次世代通信技術に焦点を当てた。
2003年: Broadcomは、ガンビット (Gigabit) イーサネット製品を発表し、データ通信速度の向上に貢献。
2006年: ブロードコムは、ベルキン・インターナショナル (Belkin International, Inc.) からリンクシス(Linksys)を買収し、ネットワーク機器市場に参入。
2016年: Avago Technologies(アヴァゴ・テクノロジーズ)とBroadcomが合併し、新たにブロードコム・リミテッド(Broadcom Limited)として再編成。この合併は、半導体業界における大型の合併として注目を浴びました。
2018年: ブロードコム・リミテッドは、カリフォルニア州に本社を持つブロードコム・インク(Broadcom Inc.)と改名し、再びNASDAQに上場。
合併と買収: ブロードコムはその歴史の中で多くの企業を買収し、半導体技術や通信関連の分野で成長してきました。これには、LSI Corporation、Brocade Communications Systems、CA Technologiesなどが含まれます。
ブロードコムは、半導体製品、通信技術、ネットワーキング機器、セキュリティ製品などを提供し、多くの産業分野で重要な役割を果たしています。その歴史の中で、企業の合併と買収によって成長し、半導体業界の主要プレイヤーとしての地位を確立しました。
ブロードコムの製品
ブロードコム(Broadcom Inc.)は、広範な半導体およびソフトウェア製品を提供しており、さまざまな分野で使用されています。以下に、ブロードコムの主要な製品カテゴリーのいくつかを紹介します:
ネットワークプロセッサ: ブロードコムは、ネットワークプロセッサを提供しており、これは通信機器(ルーター、スイッチ、ネットワークセキュリティ装置など)に組み込まれます。これらのプロセッサは高性能で、パケット処理やネットワークトラフィック管理に使用されます。
エンタープライズストレージ: ブロードコムは、エンタープライズストレージソリューション向けに、ホストバスアダプタ(HBA)やRAIDコントローラなどの製品を提供しています。これらの製品は、大規模データセンターやエンタープライズ環境でデータの保管、管理、保護に使用されます。
通信チップ: ブロードコムは、無線通信や有線通信向けのさまざまなチップを製造しています。これらは、モバイルデバイス、通信インフラストラクチャ、自動車、家庭用電子機器などで使用されます。
シリコンフォトニクス: ブロードコムはシリコンフォトニクス技術にも注力し、高速データ転送と通信ネットワークの効率向上に貢献しています。
インフラストラクチャソフトウェア: ブロードコムは、ネットワーク仮想化、クラウドコンピューティング、ストレージ管理など、インフラストラクチャソフトウェアも提供しています。
セキュリティ製品: ブロードコムは、セキュリティ分野においても製品を提供し、ネットワークセキュリティ、データセンターセキュリティ、エンドポイントセキュリティなどに使用されます。
これらの製品は、データセンター、通信業界、自動車産業、消費者エレクトロニクス、エンタープライズ、クラウドプロバイダーなど、多くの分野で幅広く使用されています。ブロードコムは、半導体技術のリーダーとして、さまざまな分野で革新的なソリューションを提供し続けています。
2.ブロードコムの株価
ブロードコムの株価は2023年10月末時点で約$838ドルで推移しております。2022年以降株価が上昇し、$500程度まで到達しておりましたが、2023年5月以降で急激な上昇を迎え現在の株価になっております。
3.ブロードコムの財務諸表分析
売上実績&予測
ブロードコムの売上はここ数年常に右肩上がりに推移しております。2019年度の売上22,597百万ドルから2022年度には46%増の33,203百万ドルまで上昇しております。ブロードコムの特徴はその高い粗利率であり、2019年時点でも粗利率70%でしたが、その後75%まで到達しており、高い粗利率が粗利や純利益の押し上げております。2022年度の純利益は2019年度比4倍超の11,495百万ドルとなっており急速な成長が伺えます。以降の予想についても、同じ粗利率で売上を伸ばしていくように推測しております。
利益指標
売上と利益が好調なブロードコムは利益指標のROEも非常に高く、2019年時点では約10%のROEに対して、2022年度は48%、今年度は約65%となっております。この急激な上昇は下記にて記述致しますが、高い利益に対して自己資金を抑えていることから来ております。ROAの同様に2019年の約5.0%から12%まで上昇しており、資産に対して効率よく利益を上げていることが分かります。
自己資本比率
ブロードコムの自己資本比率は35%前後で推移しております。上述の通り、2022年では11,000百万ドルレベルの純利益を生み出しておりますが、資本金を減少させており、高いROEと一定の自己資本比率を意図的に維持しているように見えます。2019年の資本金合計は24,941百万ドルに対して、直近の2023年では22,079百万ドルと若干減となっております。負債額についても、2019年の32,798百万ドルに対して、2023年は39,341と若干増となっており、バランスシート上の規模を維持している状況です。
流動資産指標
ブロードコムの流動資産は1直近で2.0を超えており、2023年時点では2.5と健全な財務体質となっております。在庫回転率は2019年の54日に対して2023年が73日まで上昇しているものの、売上債権回転は53日から29日に減少させており、支払い回転数は2023年で34日となっていることから、効率的な資金運営を行っていることが分かります。
上記で記載の通り、ブロードコムの販売状況はコロナの状況化でも非常に好調であり、純利益も急激に伸ばしているものの、バランスシート上では資本金と負債額のバランスを維持しており、急速な規模拡大を抑えながら経営しております。
4.ブロードコムの競合他社比較
売上比較
ブロードコムが展開している製品群での競合他社との比較を売上、EBIDTA及び粗利率で行っております。
ブロードコムは競合他社に対して高い粗利率を誇っており、2023年9月末時点で74.3%の驚異的な粗利率を維持しております。業界ないで高い粗利率は約65%であり、NVIDIAやTexas Instruments 、Analog Devise等がその数字を維持している中で、74%は非常に高い数値と言えます。その高い粗利率が高い純利益を生み出しており、競合の中では一番の純利益額である、20,329百万ドルとなっております。
株価比較
ブロードコムの現在の株価は上述の通り約$840程度で推移してます。競合では断トツで高い株価であり、2位のNVIDIAで$411の半分です。一方で時価総額はNVIDIAに続き2位の347,214百万ドルとなっております。
ブロードコムの現在非常に好調な販売を維持しており、今後の予想も非常に堅調な成長が予想されます。通信チップやシリコンフォトニクスと言われる将来の成長分野に対して関与しており、今後の成長が期待できる会社であると予想致します。
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Hより