更新に間が空いてしまいました、シリコンバレーは少しずつ肌寒くなってきて、夜はちょっと羽織るものが必要になっております。徐々に冬に近づいてきましたね。
今回から半導体シリーズをしていきます。第一弾は「インテル入ってる?」で有名なIntel Corporationです!
1.Intelとは?
インテル(Intel Corporation)は、アメリカ合衆国に本社を置く世界的な半導体製造会社で、コンピューターおよび情報技術産業で広く知られています。インテルは、1968年に設立され、その主要な事業はマイクロプロセッサ(CPU)の設計および製造です。インテルのCPUは、パーソナルコンピュータ(PC)、サーバー、クラウドコンピューティング、モバイルデバイスなど、さまざまなデバイスで広く使用されています。
また、インテルは、半導体製品に関連するさまざまな技術とソリューションを提供しており、ネットワーク製品、メモリー製品、グラフィックス製品、ワイヤレス通信技術、データセンター向けのハードウェアなども開発・提供しています。
インテルは、競合他社との激しい競争の中で、革新的な半導体技術を開発し、市場で一定の影響力を持っています。インテルの製品は、多くのコンピューターシステムで使用されており、世界中の企業や個人ユーザーによって利用されています。
Intelの製品
インテルは幅広い製品ラインナップを提供しており、それには以下のような主要な製品が含まれています:
マイクロプロセッサ(CPU): インテルのCPUは、コンピューターシステムの中核となる部品で、パーソナルコンピュータ(PC)、サーバー、ワークステーション、ノートブック、デスクトップなど、多くのデバイスで使用されています。インテルのCPUは、さまざまな製品ファミリーに分かれ、パフォーマンス、消費電力、用途に合わせて異なる特性を持っています。
チップセット(Chipset): チップセットは、CPUと他のコンポーネントとの通信を補助し、システムの機能を強化するための製品です。これには、メモリーコントローラ、グラフィックスコントローラ、入出力ポートなどが含まれます。
ネットワーク製品: インテルは、ネットワーク用のイーサネットアダプタやワイヤレス通信製品を提供しており、データセンターなどのネットワークインフラストラクチャで使用されています。
グラフィックス製品: インテルは、統合型および独立型のグラフィックスプロセッサ(GPU)を提供しており、これらはデスクトップコンピューターやノートブック、一部のサーバーで使用されています。
メモリー製品: インテルは、フラッシュメモリーやオプテインメモリーなどのメモリーテクノロジーも提供しており、データストレージソリューションに使用されています。
データセンター向けハードウェア: インテルは、データセンターサーバー向けのプロセッサやその他のハードウェア製品を提供し、クラウドコンピューティング環境で幅広く利用されています。
インターネット・オブ・シングス(IoT)製品: インテルは、IoTデバイス向けのプロセッサやセンサー、通信モジュールなどを提供しており、スマートホーム、産業自動化、ヘルスケアなどの分野で使用されています。
これらは、インテルの主要な製品カテゴリーの一部であり、インテルは常に新しい製品を開発し、技術の進歩に合わせて製品をアップデートしています。
2.Intelの株価
Intelの株価は2023年10月末時点で約$35ドルで推移しております。2022年以降では$50超であった株価がその後下落し、一時は$30を下回る状況になっておりましたが、現在は$35前後になっております。
3.Intelの財務諸表分析
売上実績&予測
インテルの売上はコロナを皮切りに減少しております。2021年では売上が79,024百万ドルであったのに対して、2022年では約20%減の63,054百万ドルとなっております。加えて、2023年の予測では更に売上の減少が予想され、53,072百万ドルとなっております。純利益ベースでは2019年が21,048百万ドルだったのに対して、以降は徐々に減少傾向となり、2023年の9月30日時点では赤字に転落しております。これは、粗利率の減少が主な原因となっており、2021年以降は55%以上の粗利率を維持しておりましたが、2022年では42.6%、2023年9月30日時点では38.1%と低迷しております。
2024年以降の予想は徐々に回復傾向とみられ粗利率も2021年程度には戻らないにしても、約48%程度まで回復するとみられております。
利益指標
売上や粗利が低迷している中、ROAやROEの利益指標も同様に大きく低下しており、2021年以前のROEは20%超を維持していたものの、2022年は8.1%、ROAは0.8%となっている。2023年9月30日時点では純利益が赤字になっていることから、両指標もマイナスとなっている。
自己資本比率
Intelの自己資本比率は元々非常に高く、2019年時点では72%となっている。以降の自己資本比率も70%前後を維持していたが、負債総額が徐々に上昇しており、2023年9月30日時点では65%に低下している。しかし、この自己資本比率は非常に高い数値であり、財務状態はある程度安定していると言える。
流動資産指標
インテルの流動資産は1.5~2.0に推移しており、健全な状態となっている。一方で在庫回転日数が2022年以降100日を超えており、売上低迷による在庫の積み上がりが懸念nされる。一方で売上債権回転日数は35日~40日で維持しつつ、支払回転日数が2021年の55日に対して、2023年は約92日まで伸ばしており、支払いと回収のバランスをとって、健全な財務状況を維持していることがわかる。
上記で記載の通り、インテルの販売状況は2021年以降で若干弱火ではあり、2023年9月末時点では純損失となっております。一方で、経営状況は引き続き健全であり、高い自己資本比率を有し、支払いと回収のサイクルを調整しながら、順調な運用をしております。
4.Intelの競合他社比較
売上比較
インテルが展開している製品群での競合他社との比較を売上、EBIDTA及び粗利率で行っております。
インテルは競合他社に対してダントツの売上を誇っており、2023年9月末時点で52,864百万ドルの売上を記録しております。競合他社ではQUALCOMMが38,584百万ドル、Broadcomが35,454百万ドル、NVIDIAが32,681百万ドルとなっております。
一方で粗利率は他社と比べてかなり厳しく売上で競合する3社(QUALCOMM/Broadcom/NVIDIA)が約65%~75%と高い粗利率を維持している中、インテルは38.1%と低迷している状態です。
株価比較
インテルの現在の株価は上述の通り約$35程度で推移してます。競合ではBroadcomが$830と非常に高い株価であり、その次にNVIDIAも$400を超えております。時価総額においても、NVIDIAが1兆ドルを超える時価総額である中、インテルは約1,500億ドルであり、Broadcomの半分以下の状況となっております。これを見ると、インテルの株価は売上に対する粗利率の低迷や2023年度の赤字が影響していると考えられます。
半導体製品は昨今非常に注目をされている中、インテルのCPUは世界でも最も有名な製品の一つであり、大きなシェアを有している一方で、NVIDIAの台頭により業界内での勢力変化を行っております。今後の業界再編によっては、インテルの株価が大きく上下する可能性も高いと考えられます。
Hより
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