【株投資】米国株 半導体シリーズ第五弾 クアルコム/QUALCOMM(QCOM)

クアルコム(Qualcomm Incorporated)は、先進的な半導体製品と無線通信技術で知られる世界的企業です。特に、スマートフォン市場においては、そのSnapdragonプロセッサーシリーズが広く採用されています。これらのプロセッサーは高い計算能力と省エネ性能をユーザーに提供し、最新のモバイルデバイスが要求するパフォーマンスを実現しています。また、クアルコムは通信規格の開発にも積極的で、次世代の5Gネットワーク技術を牽引する役割を果たしており、持続可能な社会のインフラとしての通信技術の進化に貢献しています。

目次:

1.  クアルコムとは?

 創業者

 製品群

2. クアルコムの株価

3. 財務諸表分析

 売上実績&予想

 利益指標

 自己資本比率

 流動資産指標

4. 競合他社比較

 売上比較

 株価比較

1.クアルコムとは?

クアルコム(Qualcomm Incorporated)は、アメリカに本社を置く半導体企業で、特にワイヤレス通信技術の開発で知られています。1985年に設立され、主要な事業として携帯電話用チップセットの開発・供給を行っており、世界のスマートフォンメーカーに広く採用されるSnapdragonプロセッサーシリーズが有名です。また、3G、4G、そして5Gといった無線通信技術の基準を設定する上で中心的な役割を果たしており、その特許ポートフォリオからのライセンス収入も大きな収益源となっています。

創業者

クアルコムは、アービン・ジェイコブスとアンドリュー・ヴィタービによって創業されました。ジェイコブスはMIT出身の電気工学者であり、ビタービは通信理論で著名な学者です。ビタービアルゴリズムを発明したヴィタービは、通信技術の分野での重要な貢献者として知られています。

製品群

クアルコムの製品群・強み・課題 クアルコムは、モバイルプロセッサー、モデムチップ、そしてRFフロントエンドなど、スマートフォンの中核をなす製品を手がけています。Snapdragonチップセットは、CPU、GPU、DSPを統合したSoC(System on Chip)で、優れた性能と省電力性をスマートフォンに提供しています。さらに、クアルコムは車載通信システムやIoTデバイス用のチップセットも開発しており、広範な市場に影響を及ぼしています。

 

その強みとしては、技術革新への強いコミットメント、広範囲な特許ポートフォリオ、そして先進の5G技術を先導している点が挙げられます。これにより、クアルコムは通信業界の重要なプレイヤーとして位置付けられています。

一方で、クアルコムは独占的地位を巡る法的な課題に直面しており、特にアップルとの特許使用料に関する紛争が知られています。また、競争が激しいチップセット市場においては、技術の急速な進化に対応するための継続的な研究開発への投資が求められています。さらに、地政学的リスクやサプライチェーンの問題も、グローバルに事業を展開するクアルコムにとって大きな課題となっています。

2.の株価

このグラフはクアルコムの株価を示しているチャートです。縦軸は株価をドルで表し、横軸は日付を年と月で示しています。チャートにある色のバー(キャンドルスティック)は、その日の株価の変動を表しており、バーの上端はその日の最高価格、下端は最安価格を示しています。バーが赤色の場合、その日は株価が下がったことを意味し、青色の場合は株価が上がったことを意味しています。

 

2022年の始めから株価は下降傾向にあり、その後いくつかの回復の動きがありましたが、2023年7月頃まで概ね低迷しています。その後、株価は徐々に回復している様子が見て取れますが、まだ一定のレンジ内で動いており、特に120ドルのラインが一つの重要な指標となっています。これは株価がこのラインを超えると上昇傾向にあると見られ、下回ると下降傾向にあると見られるためです。投資初心者にとっては、これらのトレンドやレベルを理解することが、株式投資の際の意思決定に役立ちます。

3.財務諸表分析

売上実績&予測

このグラフはクアルコムの財務状況の予測を「売上」と「利益」という2つの主要な指標を用いて視覚化しています。縦軸は金額(万ドル単位)、横軸は年度(2019年から2025年の予測まで)を表しています。バーの高さは売上高(水色)と純利益(紺色)を、線グラフのトレンド(オレンジ色)は利益率(Margin %)をそれぞれ表しています。

売上高は、クアルコムがその年にどれだけの収益を上げたかを示しており、純利益はその売上からコストや経費を引いた後の利益を表しています。2019年から2021年にかけて、売上は減少傾向にありましたが、2022年には大幅に増加しています。これに対して純利益は、特に2020年以降、年々増加していることがわかります。

利益率は売上高に対する純利益の割合をパーセンテージで示しており、企業の収益性を示す指標です。このグラフでは、2019年の利益率が最高で64.6%となっており、以後減少していますが、2023年予測では再び上昇に転じ、2025年予測では56.84%になると予想されています。

投資家や分析家は、このようなデータを基に、クアルコムの経営効率、市場での競争力、将来の収益性などを評価します。売上が増加する一方で利益率が低下するのは、売上増加に伴うコスト増加や価格競争などの要因が考えられます。将来の利益率の予測が持続的な向上を見せることは、効率的なコスト管理や高付加価値商品の販売など、企業の戦略が実を結びつつあることを示唆しているかもしれません。

利益指標

このグラフはクアルコムの資産収益率(ROA)と自己資本収益率(ROE)を2019年から2023年までの間にわたって示しています。ROAは会社の資産をどれだけ効率的に利用して収益を生み出しているかを、ROEは株主が投資した資本に対して会社がどれだけの収益を上げているかをそれぞれ表しています。

2019年にはROAが15.4%、ROEが153.5%と、非常に高い利益率を示しています。しかしながら、2020年以降、ROAとROEは共に減少傾向にあり、特にROEは大幅に下落しています。2023年にはROAが10.8%、ROEが37.1%まで低下していることが読み取れます。

このトレンドは、クアルコムが資産や自己資本を使用して以前ほど効率的に収益を生み出せていないことを示しています。特にROEの大幅な低下は、株主にとっての収益性が減少していることを意味しており、これは配当や株価にも影響を与える可能性があります。投資家はこのような指標を密に監視し、将来の投資判断のために使用するでしょう。

自己資本比率

このグラフはクアルコムの自己資本比率の変化を2019年から2023年にかけて表しています。自己資本比率は、企業の総資本に占める自己資本の割合を示し、財務安定性の指標の一つです。高い自己資本比率は、企業が借入金に依存せずに自己資本で事業を運営していることを意味し、財務的に安定していることを示唆します。

グラフによれば、クアルコムの自己資本比率は2019年の23.6%から2020年には27.2%に増え、2021年には再び上昇し、37.9%に達しています。2022年と2023年にはさらに上昇し、それぞれ52.7%、57.3%となっています。

この上昇傾向は、クアルコムが借入よりも自己資本を増やすことに成功しているか、あるいは総資本に対して自己資本が占める割合が増えていることを示しています。このことは、企業が将来的にリスクに対処しやすくなると同時に、投資家にとって魅力的な財務状態であると考えられるでしょう。

流動資産指標

このグラフはクアルコムの流動性資産指標を表しており、在庫回転日数、売上債権回転日数、支払い回転日数、そして流動比率を年別に示しています。単位は「日」で、2019年から2023年までのデータが表示されています。

  • 青色の棒グラフは「在庫回転日数」を、灰色は「売上債権回転日数」を、黄色は「支払い回転日数」をそれぞれ表しています。これらの指標は企業が在庫を現金に変える速度、売上債権を集金する速度、そして支払いを行う速度を示しています。
  • オレンジ色のライングラフは「流動比率」を示しており、会社の短期的な負債に対する支払い能力を示しています。右側の縦軸が流動比率の尺度で、数値が高いほど流動性が高いことを意味しています。

2019年から2023年にかけて、在庫回転日数は増加し、売上債権回転日数はやや減少し、支払い回転日数は増減を繰り返しています。流動比率は2020年に大きく上昇した後、2021年と2022年には減少し、2023年には大幅に増加しています。これは、会社がより多くの流動性資産を保持しており、短期的な負債に対する支払い能力が高まっていることを示している可能性があります。

4.競合他社比較

売上比較

このグラフは半導体業界におけるクアルコム及びその競合他社の売上とEBITA(税引前利益)マージンを比較しています。青い棒グラフは売上を、オレンジ色はEBITAを表し、赤い三角はマージンのパーセンテージを示しています。クアルコムは35,820百万ドルの売上と55.7%の高いマージンを記録しており、競合の中でも高い利益率を示しています。他社の中でNVIDIABroadcomが高い売上を達成している一方で、Micron TechnologyやAnalog Devicesは相対的に低いマージンを示しています

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株価比較

このグラフはクアルコムとその競合企業の株価評価を比較しており、左の青い棒グラフは時価総額(百万ドル単位)、赤い三角は一株あたりの価格(ドル単位)を表しています。NVIDIAが最も高い時価総額を持ち、1,135,089百万ドルとなっていますが、株価も897.82ドルと最高です。一方、クアルコムは株価が120.72ドルと競合他社中で中間に位置しながらも、時価総額では134,361百万ドルと健闘しています。

Intelの時価総額は370,562百万ドルであり、株価も38.77ドルとNVIDIAやクアルコムに比べて低めです。Texas Instrumentsは、時価総額163,454百万ドル、株価146.59ドルで、安定した評価を得ていることが分かります。Micron Technologyは時価総額で133,134百万ドル、株価は72.8ドルとなっており、その他の競合企業と比較しても中堅を保っています。

小規模な企業では、Marvell Technologyの時価総額は79,937百万ドル、株価は168.11ドルとなっており、Microchip Technologyは時価総額が44,158百万ドル、株価は51.18ドルです。Silicon Laboratoriesはさらに小規模で、時価総額が40,746百万ドル、株価が93.79ドルとなっています。

総じて、このグラフからは各企業の市場における価値と投資家からの評価を時価総額と株価から読み取ることができ、特にNVIDIAとクアルコムが業界で強い影響力を持つ企業であることが示されています。株価だけではなく時価総額も考慮に入れることで、企業の規模と市場での重要性をより包括的に理解することが可能です。

クアルコムは、モバイル通信と半導体の分野で世界をリードする企業であり、5G技術の普及がさらに同社の成長を加速させることが期待されています。高速通信、低遅延、大容量のデータ伝送を可能にする5Gは、スマートフォン市場だけでなく、自動運転車、IoTデバイス、工業自動化、ヘルスケア技術など多岐にわたる分野でのイノベーションを牽引しており、クアルコムはこれらの分野で中心的な役割を担っています。

同社の技術は、次世代の通信規格である5Gだけに留まらず、チップセットの開発や特許ポートフォリオも含めて幅広い範囲に及びます。クアルコムのSnapdragonプラットフォームは、モバイルデバイスにおいて高性能を提供し、市場での位置を固めています。また、クアルコムは、特許ライセンスビジネスを通じて、持続的な収益を確保しており、これにより研究開発への再投資が可能となっています。

企業の研究開発に対するコミットメントと技術革新への継続的な取り組みは、クアルコムが今後も半導体産業の先端を行く存在であり続けることを示唆しています。エコシステム全体の発展とともに、クアルコムの将来性は極めて有望であると考えられます。

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Hより