【株投資】米国株 自動運転シリーズ第三弾 Velodyne (Velodyne Lidar, Inc.)

今回は自動運転シリーズ第三弾でVelodyne Lidarについて紹介していきます。自動運転は昨今の注目技術であり、多くの企業が参入して開発競争を繰り広げております。同社も開発を行っておりましたが、2023年2月よりOuster社に吸収されてしまいました。彼らの技術力や合弁前の財務状況について紹介いたします。

1.Velodyneとは?

Velodyne Lidar, Inc.(ベロダイン ライダー インク)は、リーダーとして知られるライダー(Light Detection and Ranging)技術を製造し、開発するアメリカの会社です。ライダー技術は、レーザービームを使用して物体や環境の距離や位置を高精度で計測するために使用され、主に自動運転車、ロボット、ドローン、地図作成、環境モニタリング、安全システム、産業用途などさまざまな分野で応用されています。

Velodyne Lidar, Inc. は、アメリカカリフォルニア州サンノゼに本社を置いており、2007年にDavid Hall氏によって設立されました。同社は、リアルタイムの3D地図作成、障害物検出、距離測定、環境認識などの機能を備えた高性能なライダーセンサーを開発・製造しており、自動運転車や自動車の先進運転支援システム(ADAS)などに採用されています。

Velodyne Lidarは、その技術と製品の革新により、自動車産業やロボティクス、モビリティ分野で広く認識されており、自動運転車の発展に重要な役割を果たしています。同社はライダー技術のリーダーとして、安全性と精度の高いセンシングソリューションを提供し、自動運転車の実現に寄与しています。

Velodyne創設者

Velodyne Lidar, Inc.(ベロダイン ライダー インク)は、David Hall(デビッド・ホール)によって創設されました。彼は、ライダー(Light Detection and Ranging)技術を製造・開発するこの会社の創業者で、自動運転車やロボット工学の分野で革新的なセンシングソリューションを提供することで知られています。デビッド・ホールはライダー技術の先駆者の一人であり、Velodyne Lidarを設立して以来、自動車産業とその他の分野におけるライダー技術の普及に大きく貢献しています。

OUSTER社に買収

2023年2月にVelodyne社は同じセンシング技術をもつOUSTER社と合弁したと発表されました。会社名はOUSTER社が継続することとなっております。下記でも紹介いたしますが、センシング技術での開発については、競合が激化しておりこのようなケースも今後は増えていく可能性もあります。

2.Velodyneの課題と競合

課題

Velodyne Lidar, Inc.はライダー(Light Detection and Ranging)技術を専門とする企業として多くの成功を収めていますが、いくつかの課題にも直面しています。以下に、Velodyne Lidar, Inc.の主な課題をいくつか挙げてみましょう。

  1. 競争の激化: 自動運転技術やセンシング技術の分野において、競合他社が増加しており、競争が激化しています。新たな技術や低コストのライダーセンサーが市場に登場しており、Velodyneは競争を続ける必要があります。

  2. 価格競争: ライダーセンサーの市場で価格競争が激しく、価格の下落が収益性に影響を与える可能性があります。Velodyneは高品質な製品を提供しつつ、競争力のある価格を維持する必要があります。

  3. 技術革新と規制: 自動運転車やセンシング技術の分野は急速に進化しており、新しい技術や規制が頻繁に登場しています。Velodyneは技術の最新動向に追随し、規制に対応する必要があります。

  4. 市場の変動性: 自動車産業やロボティクス産業など、Velodyneが関与する市場は変動性が高いです。景気の変動や需給の変化に対応する戦略が必要です。

  5. インフラストラクチャへの依存: ライダーセンサーは、インフラストラクチャや車両に組み込まれて使用されるため、これらの産業の健全な成長に依存しています。関連産業の課題や変動がVelodyneに影響を与える可能性があります。

  6. セキュリティとプライバシー: 自動運転車やセンシング技術の普及に伴い、セキュリティとプライバシーの問題が重要になっています。Velodyneはセンシングデータのセキュリティとプライバシーについて考慮しなければなりません。

これらの課題に対処するために、Velodyne Lidar, Inc.は市場動向を注意深くモニタリングし、技術革新に対応し、競合力を維持するために努力しています。また、業界の規制や安全基準に従うことも大切です。

競合

Velodyne Lidar, Inc.はライダー(Light Detection and Ranging)技術の分野で競合他社と競り合っています。以下は、Velodyne Lidar, Inc.の主要な競合相手です。

  1. Luminar Technologies, Inc.: Luminar Technologiesは自動運転車向けの高性能ライダーセンサーを開発しており、Velodyneと同じ市場セグメントで競合しています。Luminarは特に自動車メーカーとの提携に成功しています。

  2. Innoviz Technologies: Innoviz Technologiesは、自動運転車やADAS向けのライダーセンサーを提供しており、高解像度の3Dセンシングソリューションで競合しています。同社は自動車業界との連携に焦点を当てています。

  3. Aeva: Aevaはライダー技術を基盤とした3Dセンシング技術を提供しており、自動運転車、ロボティクス、モビリティ分野で競合しています。彼らのソリューションは低コストと高性能を組み合わせています。AEVAの過去の記事はこちら=>AEVAについて

  4. Quanergy Systems, Inc.: Quanergyはライダーセンサー技術の分野で競合し、自動車、物流、産業用途などに向けたソリューションを提供しています。彼らは低価格帯のセンサーに焦点を当てています。

  5. LeddarTech: LeddarTechは、自動車業界向けのライダーセンサーとソフトウェアソリューションを提供しており、Velodyneと競合しています。彼らは特に車載ソリューションに注力しています。

これらの競合他社とVelodyne Lidar, Inc.は、自動運転技術やセンシング分野における市場で競り合っており、各社が独自の技術や戦略を持っています。競争は技術革新や製品の品質向上に貢献する一方で、市場のダイナミクスを変化させる要因でもあります。

3.Velodyneの損益計算書とバランスシート

損益計算書

Velodyneは他自動運転技術開発企業と同様に赤字です。現状では200百万ドル前後の赤字を出しております。それに加えて売上自体も徐々に減少しており、販売経路を確保していない苦しい状況になっていると考えられます。

Velodyne Lidar, Inc. PL (2019年~2025年予想)/単位:百万$

出典:Capital IQより抽出

バランスシート

バランスシートを見ても流動資産が徐々に減少しており、長期借入を2021年に行いながらしのいでいる状況。加えて追加資本金で資金の増加を図っておりますが、継続する赤字に蓄積に伴い、体力を削られている状況だと考えます。

Velodyne Lidar, Inc. バランスシート (2018年~2022年予想)/単位:百万$

出典:Capital IQより抽出

自動運転の開発を行っている企業は往々にして、将来の為の開発や売込みを行っている最中であり、各社ともに財務状況は厳しいです。そうなると資金力を用いた我慢比べで、どの程度開発に資金と注入できるかがカギとなりますが、同社はSPAC上場はしていない為、2023年2月に合弁となった「Ouster」と共に開発の速度を速める必要があります。

Hより